アメリカ本土でいちばん高い山 登山記
〔Mt.Whitney California州〕 1999年9月8日(火)〜9月15日(水)


ご注意
この登山記は、1999年9月の登山記を、2007年に記しています。地名や記録については出来うるかぎり正確を期していますが
なにぶん古い記憶のこともあり、誤っている部分がないとは限りません。現地に赴かれる方はかならずご自身でご確認ください。

 


・・・事の始まりは、たぶん大学4年の4月か5月頃、就職活動の合間を縫ってサークルの行事に参加した日、行きつけの飲み屋「チムニー」で話題に上がった卒業旅行の話、、、だったと思う。

提案者はF、ようやく就職活動も終わって、(自分は4月の頭にはほぼ終わってましたが。。。)まだまだ具体的な卒業旅行なんて考えていなかったし、
そもそも卒業できるのか?という疑問も頭の隅にあった。

ただ、仮に何か旅行をするにしても、あても無く東南アジアを彷徨うとか、ヨーロッパを周遊とか、そんなのはなんとなく嫌だった。
だから彼の提案した「俺たち一応登山やってきたし、卒業旅行するなら海外の山に登ろうぜ」という提案が、とても魅力的に聞こえた。

そのときは、その話はそこで止まって、あとは就職活動とか、サークルの行方だとか、麻雀だとか、いつものような他愛もない会話に戻って、
そしていつものように誰かは顔を真っ赤にして酔っ払っていた。そしていつものようにそのまま富士の4合目(暗号ですな)で徹夜マージャン、だったと思う・・・

 


【計画】

5月末にサークルの主だった4年生の就職活動も終わって、オイオイ!本当に行くか!?という感じで本格的に計画立てが始まった。

まず検討したことが場所、「どの山に登るか」だった。
最初は何も知らずにヨーロッパアルプスのモンブランとか、マッターホルンとか、ハーネスも持ってない、コンティニュアンスも満足にできない奴が登れるか!という場所ばっかり考えていた。(というか、そういう山しか知らなかった。)
自分たちのしてきたこれまで3年間の登山は、登山界でいう、いわば”トレッキング”というジャンルであり、いわゆるアルパインクライミングとはちょっと違った世界であることは、あまり関心がなかった。というか無知だったというか。。。

そんな感じでターゲット選びに苦渋する。カナディアンロッキーも候補に挙がったが、トレッキングで登れる有名な山もなく、それなりに手応えのある山がない。登山旅行の専門旅行会社とか、雑誌だとか、いろいろ調べ上げた挙句に見つかったのが、アメリカのカリフォルニア州・シェラネバダ山脈にあるホイットニー山だった。
標高4349m、アメリカ本土で一番標高の高い山、歩いて登れるらしい・・・
(ちなみにアメリカ全州で一番高い山は、ご存知アラスカにあるマッキンリーです)

まだあまり普及していなかったネットを駆使して調べていくうちに、どうやらホイットニー山は国立公園内にあって、登るには予約(?)permissionが必要だということが判明した。1日の定員が50名?大丈夫なのか?

 
(事前に買った地図。ナショナルジオグラフィックマップ。日本のエアリア地図のように防水紙で出来ています。)

 


【準備】

入山許可を得るためには申し込みをしなければならない。が、電話を掛けても時差があるし、それ以前に英語しゃべれんし・・・というわけで、拙い英語力を駆使してFAXを送信。(名前と、人数と、日程、入山許可の予約金を引き落とすためのカードの番号と、連絡先を書いて送信。)

2〜3日して、朝早くに現地のレンジャー事務所?から確認の電話がかかってきました。もちろん英語です。
何言ってるかわからなかったので、とりあえず妹に代わってもらい、なんとか切り抜けました(笑)
あれは何の電話だったんだろうか?

その後ネット書店で現地のガイドブック兼地図を買い、ルートの状況や標高差などから日程を決めていきました。
(国立公園とは言えど、テント指定地はごく一部だけで、あとはどこにでも幕営してよいことになってます。条件で場所は限られますが)

アメリカには国立公園の管理が進んでいて、こういった予約定員制は多いらしい。オーバーユースによる環境破壊を抑えるためにも、利用者に自然保護を理解してもらうためにも、積極的に公共機関が働きかけている。ホームページも充実していて、アメリカ全土の国立公園の情報が検索できます。

いろいろ調べた結果、登山はSequoia National Park内のMineral Kingをスタートし、Mt.Whitneに登頂後、Whitney Portalへ降りることとしました。その他、調べた結果判ったことは・・・

※幕営について
国立公園内では、キャンプ地として指定された場所周辺では、そこで幕営しなくてはなりません。そしてその際には(日本の山のテント指定地と同じように) 名前や連絡先、日程などを書いた幕営申込書を書かなくてはなりません。またその紙と一緒に1人何$かの費用を一緒にポストに投函する仕組みになってます。 ただしこれは国立公園の入り口付近だけの話。ここから一旦トレイルの中に入ってしまえば、あとは何処でテントを張ろうと、基本的には自由です。 なお水源の近くでは張ってはいけませんし、熊の被害を避けるため、持参する食物の管理はきちんと知識を備えてから行きましょう。場所によっては鉄製の頑丈なフードコンテナが常備されている場所もあります。(ただしそこは幕営指定地ではないので、無料です)

※熊について
情報を集めてとにかく気になったのが「熊」です。黒い小さな熊ならいいのですが、グリズリー(灰色)とかだと最悪・・・
熊も基本的に人間は嫌いらしいのですが、人間の持ってる食べ物は魅力的みたいです。だからテントの場合は持っている食べ物は 「テントから離れた場所の木につるす」「フードコンテナに収容する」などが必要です。

※水場について
川や沢の水はすべて煮沸(あるいは殺菌)してから飲むこと。清廉そうに見えてもバクテリアに汚染されている、とガイドブックには記載。自分たちは高価な浄水器は持ち合わせていなかったので、燃料を多めに持ち、煮沸&濾過で凌ぐことにしました。

 


【登山許可(Permit)を取得!】

で、あれやこれやと準備やら申し込みをして登山許可を取得!送られてきたのは下のような紙っぺらです。


(クリックで拡大します)


(こんな感じの熊に対する注意のパンフレットも送られてきました。クリックで拡大します)  

 


【ようやく出発!】

何はともあれ、同行者Fと事前の打ち合わせを数回行い、食糧の準備は、半分ほど日本で、残りは現地調達とすることにしました。
安売りの航空券はマレーシア航空のクソ狭いエコノミー席で、10時間以上かけて、一路ロスへ向かうことになりました。
ちなみに自分もFも初の海外なので、お互いパスポートや国際運転免許証を取得しました。

 


【9月6日(火) 成田〜LA

母親に成田空港まで送ってもらい、昼過ぎに空港に集合。旅行保険カウンターにて加入手続きをする。
ピッケル・アイゼンを使用しない登山は特に割増もなく加入することが出来た。(加入する際に、この登山が”危険なスポーツか否か”でちょっと揉めた。)というかカウンターの人も、そこまで細かいことは知らなかったみたい。

搭乗手続きをして、大きな荷物は割増もなく、無事チェック完了。出国手続き後に夕食(たしか和幸でトンカツだったと思う!)を食べ、出発。
マレーシア航空MH092便は、とにかく狭い。かなり辛い10時間だった。

着いた先のロスは時差のため、出発地成田と同日(9/6)の昼過ぎ。日本時間だと朝の4時ごろのはずで、狭い機内での疲れも相まって眠さMAXだったが、時差調整のためにも、昼過ぎで眠るわけにもいかない。

レンタカーの送迎バスに乗り、近くのレンタカー会社(Dollar)に向かう。予約していたのでスムーズに手続き完了。
ちなみにアメリカでレンタカーする場合は、料金は借主本人だけとの契約なので、別に運転する人間が居る場合は運転手追加割増が必要です。
(これに入らないと保険の対象にならない)。

またこの他にも25歳未満割増が必要で、車社会でレンタカー代の安いアメリカとはいえ、1日当りで見ると、結構高かったような記憶があります。
ただ、車がないとどうにもならない国なので、しょうがない。1日あたり$100ぐらいだと思います。
道路地図は事前に日本で買っていったので、現地で慌てることはなかったです。

LA国際空港(LAX)からハイウェイを使ってアナハイムAnaheimへ向かう。大リーグ(エンジェルス)のホーム球場Edisonfieldの近くにあるモーテルに宿を取り、
とりあえず一休み。

(デーゲームはガラガラです)(試合前のセレモニー。なぜかNASCarが・・・)

夕方から、すぐ近くの球場に向かい、当日券を買う。素人ダフ屋にバックネット裏を「$50!」と言われる。最初$15?と聞こえて狂喜したが、たんなる聞き間違い。試合はエンジェルスvsヤンキースだったが、長谷川は登板せず。時差がつらい。


(ピーナッツは投売りです。) (お馴染。7回裏に歌います)

※初の生大リーグ観戦で知ったこと。「客は意外と少ない」「西海岸でもヤンキースファンばかり」「試合前はどのゲームでも国歌斉唱」

 


【9月7日(水) LA滞在】

今日は明日からの登山に備え、食糧・燃料などの準備をする
事前に日本で調べておいた登山用具店(REIのサンタアナ店)に向かう。ロードマップで見るとたいした距離ではないのだが、走ってみるとけっこう遠い。この国では都市部でさえ、車がないと何も出来ないことを実感する。

ここで不足している残りの食糧(フリーズドライ食糧)やホワイトガソリン(飛行機では運べないので現地調達です)・熊除けの鈴などを買う。
自分はここで買ったUS製のフリーズドライ食糧にかなりハマり、その後も愛用してます。

LAは日中は暑いが、乾燥しているので日陰や朝晩は意外と寒い。山の上も・・・と思い、寒さに備えて厚手のアンダーウェアを防寒具代わりに買うが、これが後にかなり活躍する。持参したガイドブック地図ではやはり不安なので、1/25000の地図も買う。

この後、登山中に預かってもらう荷物をレンタカーの返却窓口に持ってゆき、「明日車返して、1週間後にまた車借りるから、預かっていて」と頼むも、つれない返事。
しかたない・・・山を降りた後に予約しておいたホテルに向かうが、ここも浮かない顔。まあ1週間先に本当に泊まるかどうかわからない客の荷物の責任なんか取れないよな・・・。チップ($50くらい渡したら)とともに頼みこみ、なんとか預かってもらった。

この日もエンジェルスの試合を観ることにする。

(長谷川が登板!)

この日の試合は、エンジェルスvsホワイトソックス。長谷川が登板してセーブを挙げる。意外と日本人観客も多かった。(長谷川が出ると盛り上がる!)
ちなみに、このころのエンジェルスは後年ワールドチャンピオンになるころとは全く違って万年最下位の弱いチームで、そんななかで長谷川は頑張ってました。
そのころの所属選手で、いまでもエンジェルスに居るのはティムサーモンくらいかな?

 


【登山日程および地図】


(クリックで拡大します)


【9月8日(木) LA〜バイサリア (Visalia)〜ミネラルキング(Mineral King)】

まだ陽も昇らぬうちからチェックアウト(といってもモーテルなので、鍵をしめてフロントのキーボックスに放り込むだけ)、レンタカーを返しにダウンタウンのホテルへ。
レンタカーの事務所はホテルの中にあるのだが、営業時間外はポストの中に鍵を入れるしくみになっている。
ちなみに通常だと満タンで返却しなければいけない=返却時に満タンじゃない場合はメーター読みでガソリン代を払う必要がある、のだが、借り出し字にタンク内のガソリンを買い取るオプションがあって、それを実行済みなのでこういう返却が出来るんですね。もっとも、仮にこのオプションをやっていなくても、こういった返却は可能です。あとからクレジットカードに請求が来ますから。(クレジットカードが無いとレンタカー借りれないし・・・)

ここからタクシーで長距離バスのターミナルへ。
タクシーの運ちゃんには、朝早くから大きなバックパックを背負った東洋人2人組に呼び止められて、さぞ不安だっただろう・・・(2台くらいスルーされた)

さてさて、長距離バスのターミナルは、これまでのアナハイムとかとは打って変わって怪しい雰囲気。いわゆるダウンタウン、ってやつです。
グレイハウンドのサンフランシスコ行きのバスに乗り、バイサリアという街へ向かう。運賃は$25くらい。荷物代が$5くらい。(安い・・・)
6時間程度でバイサリアという田舎町に到着するが、景色はえんえんと荒涼とした景色が広がるばかりで、退屈極まりない。
マレーシア航空に続き、かなり苦痛な移動でした。

※2007年5月現在、グレイハウンドのWEBサイトで調べた結果、LA〜Visaliaは$28、所要時間は4時間50分のようです。
 7:20発〜12:10着の便があるので、自分たちはおそらくこれに乗ったのでしょう。
 バスは2時間おきくらいに20分ほどドライブインでの休憩があります。降りるときは出発時間を運転手に確認(これ重要)してから降りましょう!!

バイサリアという街はセコイア(Sequoia)国立公園の玄関口になっているが、この街から国立公園までの公共の交通機関はなにもないので、レンタカーかタクシーで
行くしかない。国立公園の西から入って、山に上って東から出る自分たちはレンタカーは使えない。タクシー代は$150くらいでした。

Sequoia国立公園には、おもに北西部と南西部からのいろいろなアクセスルートがあるが、今回はMineralKingという入り口を使う。バイサリアからは1時間半ほど。
小さなレンジャー事務所とキャンプ場があるだけのさびれた登山口。レンジャー事務所で入山手続きをし、キャンプ場の入り口で幕営許可証に記入、ポストに料金を
入れ、テントを張る。鹿の親子もあらわれる。

(日本に送られてきた登山許可証Permitをレンジャー事務所に持ち込むと、ザックにくくりつけるためのタグを貰える。)
(登山予定と、キャンプ候補地での焚き火の可否が記されている。赤い線※でひいたキャンプサイトは焚き火不可)

(こちらは表面)   (これは裏面)

(日本と違い、とにかく乾燥してます。フカフカの落ち葉のサイトで気持ちいいのですが、喉が渇いて仕方ない)
(初日からテントサイトに鹿の親子の出迎え。振り返ったら目が合ってビックリしました。あわててカメラを・・・)


【9月9日(金) Mineral King〜フランクリンレイク(Franklin Lake)】

今日はMineral Kingを出発し、フランクリンパス(Franklin Pass)を目指す。夜明け前にテントを撤収し、日の出とともに出発。
1週間分の食糧やら燃料でかなり重い荷物、道は平坦なので体調を確かめるかのように慎重に歩を進める。

※このころはまだ現在のような「軽量化ブーム」が到来する前だったので、どの装備も軽くないものばかりでした。
 食料品こそフリーズドライを採用したので軽かったですが、テント、シュラフ、雨具・・・かなり重たいものばかりでした。
 まあ仮に軽い道具が発売されても、買うお金は無かったでしょう・・・

地図上では大まかなルートはわかっているのだが、日本の登山道とは勝手が違い、距離感もいまいちはっきりしない。距離表示もマイル(1.6km)だし。
またエアリアのように”コースタイム”が設定されているわけではないので、標高差から見て、自分で「これくらいかな?」と予想をつけただけの登山計画なので、
はたして日程どおり歩けるのか?登れるのか?と不安も一杯。とくに食糧と燃料については+3日分くらいの余裕を持たせているが、そこまで体力が持つか・・・

(彼方に見えるコルから左手に上るとフランクリンパスへのルートが続きます)

歩き始めて1時間程度、夜は明けたが太陽が昇らない(東側は大きな山脈がそびえているので、陽が差さないのです)なか、丘を越えて、ふと前方を見ると

熊!


熊!

げげげ!黒いけど、熊っす。
その距離、約30mほど。
これには自分も同行者Fも、そして熊もビックリ。目をそらさず、硬直すること1分、熊は関心がなくなったのか、スタスタと丘の向こうに消える。

ふぅ・・・あぶないあぶない。すこし間をおいて、進むことにする。まったく熊の野郎、ビビらせやがって、などと思っていると、

ふたたび前方に熊!

しかもさっきより近いし!

おまけにこっち睨んでるし!!

さきほどと同じ熊のようですが、これではまるでこちらが追いかけているかのようなシチュエーション。かなり拙いっす。。。
ふたたび睨みつけること1分ほど、ようやく熊は立ち去ってくれました。

(それまでは熊鈴を腰につけていましたが、あまり鳴らないので、シューズにつけました。ウルサイけど効果あり)

シューズにつけた熊鈴は、結局下山までずーっと付けっ放しにすることにしました。
スタートから4時間ほど、ルートは平坦な道から徐々に傾斜を増し、登山道らしくなる。ただし日本の登山道とは違い、”段差”がない。
傾斜も緩やかで、とても歩きやすい。バックカントリー社会が成熟し、トレッキングルート(トレイル)として整備されているだけある。
自然環境は違うとはいえ、ぜひ日本も見習える部分は見習って欲しい。いつまでも山小屋主体の登山道整備では限界がありますよ・・・

歩き始めて7時間ほど、午後2時過ぎにフランクリンパス手前のFranklin Lakeのほとりに到着。
正式なテントサイトではない(一旦トレイルに入れば、指定されたテントサイトはありません)が、幕営に適した場所なので、おそらく多くの人間がここを使っているのだろう。上手い具合に鋼鉄製のフードコンテナもあるので、今日はここに幕営することにする。

 

水場は30mくらい下の湖。氷河地形なので透き通った青い水ですが、念のため煮沸は欠かせません。

 


【9月10日(土) Franklin Lake〜カーンリバー(Kern River)】

夜明け前に撤収を完了し、日の出とともに歩き始める。気温はかなり寒い。
幕営地から1時間ほどでフランクリンパスに到着。標高は3,000m近くあり、ちょっと息が切れる。がこれから目指すシェラネバダ山脈の主峰Mt.Whitneyも見える!
(はるか彼方なので、感動!よりも、あそこまで行くの!?という感じでしたが)

峠を越えて今日はカーンリバーまでゆったり下るだけ。と考えていたが、直射日光がそれを阻む。とにかく暑い・・・暑すぎる。
朝晩は寒いのに、日が照ると灼熱地獄・・・下りなのに体力を絞られるような感覚。

   

結局この日は午前中から2人ともバテ気味で、午後はまったくペースが上がらず。
午後3時ごろカーンリバー手前の沢沿いの幕営適地を見つけ、今日の行程はここまでとする。

(氷河地形なので、カーンリバーに向かってU字谷が続きます。土地が痩せているのであまり樹木はありません)

 

この日からテントサイトで”焚き火”の技を覚えました。というか、ちゃんと火の始末さえすれば、焚き火が自由なんです。
燃料となる枯れ枝はたくさん落ちています。火熾しが面倒ですが、ホワイトガソリンを少々ふり掛けて、火のついたティッシュを投げれば1発です。
(マネはしないように。危険です。)乾燥しているのであっという間に火が付きます。

朝晩の寒い時間は焚き火をすることでかなり寒さを凌げることが判りました。大自然の中で焚き火、かなりハマります。日本じゃムリだけど。

※上にも書きましたが、焚き火をすることが出来るエリア、場所は決められています。

 


【9月11日(日)  Kern River〜カーンホットスプリング(Kern Hot Spring)】

陽の上がらぬうちから起きだすが、沢沿いなので寒い。陽が照ると暑いのだが。
早々に荷物をまとめ、火の始末をしてから出発。

出発から2時間弱で渓谷の底に到着。
ここからはカーンリバーに沿った平坦なルートが続く。ただし距離は長い。思考が日本の1.6倍(日本の1km=USの1マイル、という感覚)という感じ。

   

昼ごろ、本日の目的地、Kern Hot Springに到着。ホットスプリング=温泉、そう、ここは大自然のど真ん中に湧く温泉なのです。

ちいさな湯船がありますが、普段は温泉が流れています。木の栓が置いてあるので、これで栓をすると15分くらいで湯船が満タンに。
そのままだと熱すぎるので、すぐそばの川から水で温めて入ります。

最高です。温泉の成分はよくわかりませんが、最高です。日本のどんな秘湯よりも、秘湯だと思います。
歩いて3日間かかりますからね・・・最寄の入山口からでも。あぁ・・・もう1回行ってみたい・・・

風呂に入ってマッタリとしていると、この山行で初めて同じ幕営地にテントを張る人を発見。
先方から英語で「ここにテントを張って良いか?」と聞かれたので、「いいよ」と返答。
ヘタクソな英語だなぁ(自分はさらに下手な英語ですが)・・・韓国か中国からの留学生か?と思っていると、
ザックのなかから日本語で書かれたビニール袋が・・・(秀山荘とか書いてあるし)

え?と思いつつ、英語で「日本語しゃべれるの?」と聞くと、英語で「もちろん」との返事。なんだ、日本人か・・・(苦笑)
まさかこんな山の中で日本人に出会うとは。

いろいろ話してみると、おなじ大学4年生、おなじ卒業旅行で、住んでる場所もすぐ近く。
なんとまあ偶然が重なることやら。

結局彼とは、この後下山まで行動を共にすることとなる。

 

この彼、登山+フライフィッシング目的で山に入ったそうだが、ここのカーンリバーではここでしか獲れない「ゴールデントラウト(金鱒)」が居るらしい。
そして本当にゴールデントラウトを釣ってました。そして捌いて、焚き火で食いました。

う、旨い・・・

大自然の真っ只中で、登山して、温泉入って、フライフィッシングして、焚き火して、ウイスキー飲んで・・・あと何か足りないものありますか?
いやぁ・・・最高でした。

 


9月12日(月) Kern Hot Spring〜ジャンクションメドウ(Junction Mdw)】

今日はKern hot springからジャンクションメドウまで、川沿いの平坦なルートを歩くだけ。休養日のような感じ。
それでも距離だけはそこそこあり、(おそらく12kmくらい)、陽が出ると暑くて大変なので、渓谷の底を歩くことを考慮して7時ごろ出発。

ほとんどアップダウンの無い道を行き、昼ごろに目的地ジャンクションメドウに到着。ここから1000m標高差のある次の幕営適地まで歩けないことも無いが、休養日と割り切ってしまっているので、歩く気ナシ。

この日も1時間遅れぐらいで行動してた彼が到着後、フィッシング→焚き火の流れ。温泉こそありませんが、最高なことには変わりありません。

 


9月13日(火) ジャンクションメドウ〜サンディメドウ(Sandy Mdw)】

今日は今まで歩いてきたハイ・シエラ・トレイル(high Siera Trail)から、標高差700mを登って噂に名高いジョン・ミュア・トレイル(John Muir Trail)に合流する予定。
朝一から登りが待っている。かなりキツイ・・・

ルートがキチンと整備されており、大きな段差は一切無く、歩きやすいルートが続くのだが、その分距離が長い。かなり。
カーンリバーの渓谷から抜け出すと、標高10000フィート(約3300m)の高原に出る。標高3000mオーバーといえば、日本ではかなりの場所。
こんな標高を縦走するのは人生初。

結局この日は目標としていたCrabtree Mdwまで行くことが出来ず、その手前のSandy Mdwにてビバーク。
もっとも、ビバークとは言っても、水場もあるし、幕営適地もある。
この先のCrabtree Mdwはレンジャーステーションもある整った幕営地なのだが、焚き火禁止。
ここSandy Mdwはまったくの野原。

水場は、ちかくの沢(といっても草原に埋もれていて、水音を頼りに探し出す。きれいな沢なのだがいちおう煮沸)。
同行の彼は、自分たちがテントを張っているころやってきて、この先のCrabtree Mdwまで行くという。再会を誓って別れる。

 

9月14日(水)  サンディメドウ〜ホイットニー山(Mt.Whitney)〜コンサルテーションレイク(Consultation Lake)

昨日は目的地まで行かずに楽をしたので、この日は遅れを取り返そうと気合の入る一日。
2人ともいい加減疲れてきてるしテント生活、とくに貧しい食生活に飽きてきた!とくに飲物は・・・
インスタントのコーヒー争奪戦も始まりつつあり、早いところ目標を達成して下界へ!という意識。

そんなわけで、朝1時過ぎ(朝というより、夜ですね。)に起床。3時出発とする。
標高3000mオーバーの深夜は、やはり夏でも寒い。焚き火で暖を取りつつテントを撤収し、火の始末、即出発。

昨日泊まる予定だったCrabtree Mdwへは2時間程度で到着。当然、まだ真っ暗。
ヘッドライトの明かりを頼りに歩き続ける。テントサイトもルートそばに見えるが、起きて準備をしている人の姿は無し。

 

標高が11530フィート(約3500m)を超え、左手にMt.Whitnyの大きな壁が見えてくる。
右手の足元にはhitchcock lake(ヒッチコックレイク)が。太陽は東の空、つまりMt.whitnyの高い壁の向こうから
登ってくるので、周りは明るいが、なかなか陽がささず、寒い。

 

hitchcock lakeを過ぎたあたりから、いよいよ急な登りが始まる。標高が13480フィート(約4100m)を超え、歩きやすいルートだが息が切れる。
険しい峰の鞍部がTrail Crestとなっており、ここで休憩。時刻は10時くらいだったと思う。

 

岩陰にザックをデポし、軽い身になっていよいよ、クライマックスであるMt.Whitnyへ。
遠くが見える場所まで来ると、とにかく風景が大きい。日本のアルプスとは比較にならないくらい広い。
どこまでも山が続く。そんな感じ。

空身になってからおよそ1時間程度で、ついに山頂に到着!標高14496フィート(4418m)。
山頂には狭いながらも非難小屋もあり、泊まることもできそう。ただし水場は付近には全くないので注意。

 

 

 ↓ 山頂にあるプレート。標高14496feetと書いてあるのが読み取れます。

 

山頂におよそ1時間ほど滞在し、下山を開始する。
疲れもあるが達成感もあり、あとは下るだけ(本当に下山口まで4000m近く下るのです・・・)なので、気は楽。
歩き始めて少しすると、これから山頂に向かう例の彼と3度の再開!テン場で待っていることを伝え、先に下りる。

   

 ↓ Trail Crest から見た、Mt.Whitnyの東側(下山側)の壁。かなりの標高差です。

Trail Crestからザックを背負って歩き出すが、朝の1時起きが原因か、それとも標高による高山病が原因か、
かるい頭痛がする。。。

 

テント予定地のConsultation Lake(コンサルテーション レイク)までは99switchbackと呼ばれる、日本風に言えば
九十九折のものすごいルート。ひたすらに右左〜左右〜とクネクネクネクネと下山。目が回る・・・

 

ようやく夕方4時過ぎにテント場に到着。これまであまりルート上に人を見かけなかったが、さすがに1泊2日で登れるこのルート(東側からのルート)には
人が多く、このテント場もテントを春場所を見つけるのに一苦労。後から来る彼のために場所を確保し、スシが好きだという地元の人に絡まれつつ、
今日の長いルートの余韻に耽る。

明日は降りるだけ。何が食べたい?何をしたい?今日は頑張ったな〜・・・

 

9月15日(木) コンサルテーションレイク〜ホイットニーポータル(Whitny Portal)

夜はかなりの冷え込みとなる。
とにかく雨が降らない、雲さえない気象条件の土地なので、夜間の放射冷却による冷え込みが厳しい。
(太平洋からの湿気はすべてこのMt.whitnyがある山脈が遮るため、山脈の東側は砂漠地帯となっています。世界で最も降水量の少ない地域があります。)
近くの湖は氷を張っている状態。(まだ9月なのに)

 ↑ 昇る太陽に照らされたMt.whitnyの壁が金色に染まる。

今日はややゆっくり目に出発。下山口のホイットニーポータル(Whitny Portal)までは2000m近い下り。
ひたすらに下っていく。

 

ハイペースで4時間ほど下り続け、ようやく下山口に到着!下界のにおいがする。1泊2日で山頂を狙う登山客が多い。(日本人ツアーもかなりいた)
旨いものを食べよう!と思っていたのだが、あるのはでっかいハンバーガーとかフライドポテトとかコーラとか、マクドナルドみたいなものばかり。
それでも旨かった・・・

この後、近くのローンパイン(Lone Pine)という街のモーテルに泊まり、翌日再びグレイハウンドのバスでLAに戻りました。
(例の彼は、なんと再びMt.whitnyに登り、入山口まで引き返えしたそうです。。恐るべし。)

後編(レンタカードライブ1週間の旅)はまた後ほど!拙い文章で失礼しました。。。